
屋根裏の鳥の巣に卵やヒナがいるかどうかで、できることが変わってきます。
もし屋根裏に鳥の巣があって、中に卵やヒナがいるなら、今夜は巣に触らないでください。出入り口も塞がないようにしましょう。
鳥の卵を許可を受けずに採取したり損傷したりすること、ヒナを捕獲したり殺傷したりすることは、鳥獣保護管理法で禁じられています。
巣を撤去できるのは、ヒナが巣立つのを確認してからです。具体的には、まず巣立ちを待って、それから巣の中を確かめ、空であれば撤去し、最後に出入り口を塞ぐ、という4つの流れになります。
天井の上で「ピヨピヨ」という鳴き声が聞こえても、それだけで鳥の巣とは限りません。
屋根裏の音が鳥の巣かどうか、触る前に分かること
鳴き声や物音だけでは、屋根裏にいるのが鳥なのかどうかは判断できません。
鳥の巣だとわかるのは、軒下や屋根の隙間から鳥が出入りするのを見たときや、点検口から巣が見えたときです。
鳥ではなく、ネズミやハクビシンなどの哺乳類が原因であることもあります。屋根裏の音全般については、別の記事で詳しく説明しています。
もし巣がなく、鳥だけが屋根裏に入っている場合は、追い出し方についての記事を参考にしてください。
関連:屋根裏の鳥を追い出す方法|ガサガサが鳥のとき今夜やること
このページでは、屋根裏に鳥の巣ができてしまった後の対応について説明します。
屋根裏の鳥の巣は撤去できるか:卵・ヒナがいるときの決まり
巣が空っぽなら、撤去できます。しかし、卵やヒナがいる場合は、許可なしに撤去することはできません。
巣が空のとき
西東京市は、この件について次のように案内しています。
「巣が空の状態なら、野鳥の種類に関係なく誰でも巣を撤去できます。」
大阪府も、卵やヒナがいない場合には「巣を撤去していただくことは可能です。」と述べています。
巣に卵やヒナがいるとき
一方で、大阪府は卵やヒナがいる場合については「巣を撤去していただくことはできません。」としています。
西東京市は、鳥の種類を挙げて説明しています。
「巣にヒナや卵がある場合、カラス、ドバト、ムクドリは鳥獣保護管理法により、市民による巣の撤去は東京都の鳥獣捕獲許可が必要になります。」
和歌山県 有田振興局の案内は次のとおりです。
「鳥や巣の中の卵を撤去することは、鳥獣保護管理法により禁止されています。」
鳥獣保護管理法の条文
これらの案内のもとになっているのは、鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)の第8条です。
この条文では、「鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。」と定められています。
ここでいう「捕獲等」は、第2条で「捕獲又は殺傷」と定義されており、鳥獣には鳥類が含まれるため、ヒナも対象となります。
第8条の条文自体には「巣」という言葉は直接出てきませんが、卵の採取や損傷、ヒナや鳥の捕獲・殺傷が禁じられています。
そのため、卵やヒナがいる巣を撤去する行為は、卵の損傷やヒナの捕獲・殺傷にあたる可能性があるとして、自治体は卵やヒナがいる巣の撤去はできないと案内しているのです。
例外として、第9条に基づき許可を受けた場合などがあります。
この法律に違反した場合の罰則については、第83条第1項第1号に規定があります。
罰則は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。
さらに、第83条第2項により、未遂の場合も罰せられることになっています。
巣を動かす必要があるときの許可の窓口
許可を出す権限は、原則として都道府県知事が持っています。
環境省は、この許可権限の移譲について、次のように説明しています。
「多くの都道府県では、地方自治法第252条の17の2の規定又は鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律第6条の規定に基づき、その捕獲許可権限の一部を市町村長に移譲しています。」
許可が必要かどうか、またどこに申請すればよいかは、お住まいの市区町村または都道府県の鳥獣担当部署に問い合わせるのが早いです。
屋根裏の鳥の巣に卵・ヒナがいるかを、開けずに確かめる
大阪府は、巣を撤去する際には「必ず巣の中を確認してください。」と注意を促しています。
ただ、天井裏や小屋裏のように、中が見えない場所で、巣を開けずに卵やヒナがいるかどうかを確認する方法については、私は確認していません。開いた公的機関と自治体のページには、そのような方法は記載されていませんでした。
もし、中が見えない場合は、卵やヒナがいるものとして対応する必要があります。
その上で、考えられる道は2つあります。
- 巣立ちの時期が過ぎるまで待つ
- 許可を受けた事業者に、中を見てもらう
点検口から巣が見える場合でも、巣には触らないようにしましょう。卵を動かすことは、損傷にあたる可能性があります。
巣立つまでの間、屋根裏でやってよいこと・やってはいけないこと
やってはいけないこと
- 出入り口を塞ぐ
- 巣を動かす、取り出す
- 卵に触る、持ち出す
- ヒナを捕まえる
卵やヒナがいる状態で巣の出入り口を塞いでしまうと、親鳥が巣に戻れなくなったり、ヒナが外に出られなくなったりします。
やってよいこと
- 外から、鳥がどこに出入りしているかを見ておく
- 鳴き声や物音がいつ始まったかを書きとめておく
- 市区町村か都道府県の鳥獣の担当に、許可が要るかを聞く
鳴き声や物音がいつ始まったかがわかると、ヒナの巣立ち時期の目安を立てやすくなります。
屋根裏の鳥の巣を撤去する時期と順番
時期
西東京市によると、野鳥は「4月から7月にかけて」繁殖期に入ります。
また、同じ西東京市は、巣作りから1か月から1か月半ほどでヒナが巣立つと案内しています。
和歌山県 有田振興局は、「巣は1日・2日でつくられるものではありません。」と述べています。
ムクドリやスズメ、ハトそれぞれの詳しい繁殖期については、私は確認していません。
巣立ったかの見分け
鳴き声や物音が止んだというだけでは、必ずしも巣立ったとは判断できません。
巣立ったかどうかを見分ける方法について、公的な機関が公開しているページは、私は確認していません。
順番
- 巣立ちを待つ
- 巣の中に卵やヒナが残っていないかを確かめる
- 巣を撤去し、巣のあった場所を掃除する
- 出入り口を塞ぐ
和歌山県 有田振興局は、2について、次のように案内しています。
「巣については、鳥が巣立った後に撤去することは可能ですが、巣の中に卵が残っていないか確認してください。」
大阪府も同様に、巣立つまで見守った後、巣が空になってから撤去するよう案内しています。
巣を撤去した後の掃除や消毒の方法について、公的な機関が公開しているページは、私は確認していません。
屋根裏の鳥の巣の撤去費用と、頼む前に気をつけること
屋根裏の鳥の巣の撤去費用について、公的な機関が公開しているページも、私は確認していません。
市が必ずしも巣の撤去を行ってくれるわけではありません。
西東京市は、「市では撤去及び費用負担を実施しておりません。」と明記しています。
浦安市は、私有地にできた巣について、次のように案内しています。
「撤去は所有者が行うか、専門業者に依頼してください。市では私有地内の巣の撤去は行えません。」
業者に依頼する際は、料金表示に注意が必要です。
国民生活センターは、2024年4月24日に、害虫・害獣駆除に関するトラブルについて情報を公表しました。それによると、2023年度の相談件数は、2022年度の同時期と比べて約1.5倍に増加しています。
国民生活センターからのアドバイスは以下のとおりです。
- 「極端に安い価格を表示するサイトや広告には注意。」
- 「複数見積もりを取って比較・検討する時間を与えない事業者とは契約しない。」
- 「クーリング・オフ等ができる場合がある。」
さらに、2025年3月4日の公表では、次のような注意点も示されています。
「料金や作業内容に納得できない場合は、その場での支払いは避けましょう」
もし、おかしいと感じたら、消費者ホットライン「188」に相談することができます。
屋根裏の鳥の巣の対策:撤去のあと、また作られないために
また鳥に巣を作られないようにするためには、最後に巣の出入り口を塞ぐことが重要です。
ただし、この作業は巣立ちを確認し、巣を撤去した後に行ってください。もし先に塞いでしまうと、親鳥やヒナを閉じ込めてしまうことになります。
巣作りが始まる前の対策については、和歌山県 有田振興局が次のようにアドバイスしています。
「困る場所に巣を作り出したときは、事後ではなく事前に撤去すれば別の場所へ移動しますので、軒下や車庫などを日常的に点検するようにしてください。」
もし巣作りが始まったばかりで、まだ卵が産まれていない時期であれば、撤去することが可能です。しかし、一度卵が産まれてしまうと、再び巣立ちを待つことになります。
屋根裏の巣を撤去した後に、侵入口を塞ぐことについて、公的な機関が公開しているページは、私は確認していません。
自分でできる限界と、屋根裏の鳥の巣の駆除を業者に頼む目安
ご自身でできる対応は、巣立ちを待つこと、巣が空になったのを確認すること、空になった巣を撤去すること、そして出入り口を塞ぐことまでです。
以下のいずれかに当てはまる場合は、ご自身で対応を進めない方が良いです。
- 巣の中が見えず、卵やヒナがいるか分からない
- 卵やヒナがいて、巣立ちを待てない事情がある
- 巣や出入り口に手が届かない
- 屋根や高い所での作業が要る
卵やヒナがいる場合について、浦安市は次のように案内しています。
「すでに卵や幼鳥がいる場合は、捕獲などの許可を受けた事業者などで作業を行う必要があります。」
業者に屋根裏の鳥の巣の駆除を依頼する場合でも、卵やヒナがいる場合は許可が必要である点は変わりません。業者に許可を受けているかを確認しておきましょう。
見積もりは複数社から取り、料金や作業内容を比較検討してから依頼する業者を決めると良いです。
巣も鳥の出入りも見えず、ネズミの可能性が残るときは、ネズミは屋根裏で何してる?|昼間も音がする理由と巣・エサに、屋根裏のネズミについて資料に書いてあることをまとめている。
まとめ|屋根裏の鳥の巣
屋根裏の鳥の巣問題は、卵やヒナがいるかどうかで、対応が大きく異なります。
今夜やることは3つあります。
- 巣に触らない
- 出入り口を塞がない
- 鳥がどこに出入りしているかと、鳴き声がいつ始まったかを書きとめる
巣が空であれば撤去が可能です。もし卵やヒナがいれば、巣立ちを待つか、許可を受けた専門業者に依頼することになります。
許可なく卵を採取・損傷したり、ヒナを捕獲・殺傷したりすると、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科せられます。
巣を撤去した後は、必ず出入り口を塞ぎましょう。ただし、順番を間違えないように注意してください。
この記事で引用した資料
(2026年10月17日に確認)
- 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 第2条(e-Gov 法令)ページ
- 同 第8条 ページ
- 同 第9条 ページ
- 同 第83条 ページ
- 環境省「捕獲許可制度の概要」ページ
- 大阪府「野鳥が巣を作ったときの対応」ページ
- 西東京市「野鳥」ページ
- 浦安市「ムクドリやカラスなどの鳥獣について」ページ
- 和歌山県 有田振興局「よくある質問(鳥獣関係)について」ページ
- 国民生活センター「ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意-若い年代でトラブル急増中!-」(2024年4月24日)ページ
- 国民生活センター「【広告の格安料金に要注意!】作業後に高額請求する害虫駆除トラブル」(2025年3月4日)ページ
竹内 亮太(たけうち りょうた)
家で聞こえる音の正体を絞り込んで、次に何をすればいいかまで決められるようにするために、
このサイトを書いている。
害獣の駆除業者ではないし、自分の家に何かが出たこともない。だから体験談は書かない。
やっているのは、公的機関の資料を1件ずつ開いて、書いてあることと書いていないことを分けることだ。
音だけで正体は断定しない。
どこまで分かって、どこから先は天井裏に上がらないと分からないのかを分けて書く。

