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コウモリが屋根裏にいるようなのに、音がしない。
でも、屋根裏のコウモリの音がしないからといって、いないとは限らない。
国土技術政策総合研究所の資料によると、小さいコウモリの声は人間には聞こえない超音波だ。
それに、冬眠中や昼間はあまり動かない状態らしい。これも国の機関の冊子に書いてあった。
ただ、今回参考にしたコウモリについての公的な資料には、「屋根裏で音がしない」ということ自体について書かれているものはなかった。
天井裏にいるのが本当にコウモリなのかも、音だけではわからない。
この記事では、屋根裏にコウモリがいるのに音がしない場合に考えられることと、音の代わりに今夜確かめられることを説明する。
屋根裏のコウモリは、音がしないことがある|声は人に聞こえない
国土技術政策総合研究所の資料には、小さいコウモリについてこう書かれている。
「口や鼻を通して人には聞こえないような周波数の高い超音波を発し」
コウモリは、その超音波が跳ね返ってくる音で、周りのものの位置を知る。
京都市も、イエコウモリは超音波を出して、その反響音で虫を探すと書いている。
資料に書かれているのは、この超音波が人には聞こえないということまで。
羽音については、北九州市、浜松市、横浜市、京都市のコウモリに関する案内や、国立環境研究所の「アブラコウモリ」の項目にも書かれていない。
屋根裏から部屋まで羽音が聞こえるかどうかは、私は確認していません。
コウモリの体の大きさや、音がする時間帯については、天井の物音について書いた別の記事で触れている。
関連:天井の物音の正体は何か|ガリガリ・ガサガサ・ミシミシの違いと確かめ方
もし、パタパタという羽音のような音が今も聞こえているなら、屋根裏の音全般を扱った記事の方が参考になるだろう。
屋根裏で音がしないときに考えること1|季節と冬眠
埼玉県立自然の博物館の研究報告には、図鑑(安井 2011)を引用して、こう書かれている。
「11 月~3 月まで冬眠を行う」
地域や年によって冬眠の時期が前後するかどうかは、この報告には書かれていない。
国立環境研究所のデータベースによると、アブラコウモリの交尾は10月。
排卵や受精は、冬眠が終わった後の4月末とされている。
冬眠中の様子については、国土交通省 中部地方整備局 天竜川上流河川事務所の冊子に書かれている。
「代謝活動を抑え、体温を気温と1~2℃差の範囲内まで下げ、極端な場合には呼吸も1分間に1回程度になると言われます」
同じ冊子には、昼間の様子についても書かれている。
「コウモリは餌を探しに飛び回ることができない昼間も、冬眠のような状態になっています」
つまり、冬眠中も昼間も、あまり動かない状態だ。
ただ、この冊子では、この状態と音について結びつけては書いていない。
冬眠中や昼間に屋根裏の音が止むと書いた公的な資料は、私は確認していません。
もし冬になってから音がしなくなったのなら、研究報告にある冬眠の時期と重なることになる。
屋根裏で音がしないときに考えること2|すみかが軒下や屋根瓦の下
京都市によると、イエコウモリの巣は「壁の間や天井裏など家屋の透き間」だそうだ。
埼玉県立自然の博物館の研究報告では、一般の家では「屋根と壁面のすきま(軒下)や屋根瓦の下などでの確認が多い」と書かれている。
これは、他の研究者のねぐらの調査結果を引用したものだ。
北九州市のウェブサイトも、コウモリがいる場所として天井裏と軒下を挙げている。
コウモリがいる場所は、必ずしも部屋の真上の天井裏とは限らない。
浜松市は「1cm程の隙間があれば出入りできる」と説明している。
すみかの場所によって、部屋への音の届き方が変わるかについて書いた公的な資料は、私は確認していません。
国土交通省の冊子によれば、家の中をねぐらにするコウモリは、たいていアブラコウモリだという。
同じ冊子には、長野県の都市部から離れた地域では、ヒナコウモリやウサギコウモリもいると書かれている。
屋根裏で音がしないときに考えること3|数と、夜は外に出ていること
群れの大きさについては、資料によって記述が異なる。
- 国土交通省の冊子:「数頭から100頭の集団で利用」
- 京都市「衛生動物だより」No.59:「多いときには100 頭前後のコロニーを作ります」
- 京都市「衛生動物だより」No.027:「巣によっては,数十匹が同じ巣に生息していることがあります」
数頭の場合もあれば、100頭前後という場合もある。
1匹か群れかで屋根裏の音が変わるかについて書いた公的な資料は、私は確認していません。
京都市では、アブラコウモリは日没後に巣から出て、空を飛び回ると書かれている。
国土技術政策総合研究所の資料によれば、コウモリは夜に餌を捕るために飛び回り、昼間は隠れ家に潜んでいる。
夜に音がしないときは、外に出ている時間帯に当たっているのかもしれない。
音がしないとき、屋根裏のコウモリを確かめる方法|フンと日没後の出入り
音がしない場合、音の代わりに、他の手がかりでコウモリがいるかどうかを確認することができる。
手がかりは2つある。
- フンが落ちている場所
- 日没後の出入り
浜松市によると、侵入口は糞が落ちている場所が目安になるという。
京都市も、コウモリは出入り口として使う隙間から糞を落とすとしている。
糞が落ちる場所を見ておけば、出入り口の見当がつくはずだ。
同じ場所を、何日か空けて見比べてみてほしい。
もし糞が増えていれば、今も出入りがある手がかりになる。
コウモリの糞の臭いも、音の代わりの手がかりになる。京都市の「衛生動物だより」No.027 は、イエコウモリの害を「糞(ふん)や尿のにおいや染み」と書いている。No.59 には、家に入り込んだ場合に「天井裏に糞尿が堆積し,臭いや汚損の原因となることがあります」とある。臭いの強さでコウモリの数や今もいるかどうかが分かると書いた公的な資料は、私は確認していません。
ネズミの糞との見分け方については、天井の物音について書いた記事で説明している。
浜松市の進め方では、2番目に、コウモリが家にいない時間帯を調べることになっている。
日没後、糞が落ちていた場所の近くを、家の外から見てみる。
もし飛び出すのが見えれば、そこが出入り口だ。
見えなかったとしても、それだけでいないと断定はできない。
日没から何分後くらいに出るかについては、天井の物音について書いた記事に載せている。
関連:天井の物音の正体は何か|ガリガリ・ガサガサ・ミシミシの違いと確かめ方
屋根裏の音が止んでも、いなくなったとは限らない|子育てと冬眠の時期は塞がない
音が止んだというだけでは、いなくなったとは決まらない。
浜松市では、まだ飛べない幼獣がいる6月から8月は、侵入口を塞ぐのを避けるようにとしている。
浜松市は、冬眠前後の時期も塞ぐのを避けるようにとしている。
浜松市が言う冬眠前後の時期が具体的に何月頃を指すのかは、私は確認していません。
京都市は、「7 月初旬~8 月中旬の繁殖期に入ると追い払うのは難しくなる」と書いている。
北九州市は、「冬眠時期及び夏の出産時期は追い出しが難しい」としている。
北九州市は、それ以外の時期に対策する方が効果的だと言っている。
生まれる子の数については、資料によって違いがある。
国土交通省の冊子では、初夏に1〜3仔と書かれている。
国立環境研究所のデータベースでは、1回の出産で2~4頭としている。
浜松市は、侵入口を塞ぐ際は、コウモリがいない時間帯を選び、家の中に閉じ込めないよう注意するとしている。
音がしないからといって、全部塞いでしまうと、中にコウモリがいた場合、閉じ込めてしまうことになる。
屋根裏のコウモリを追い出す方法として、浜松市は次の順に進めるよう案内している。まず糞が落ちている場所などから侵入口を確かめ、次にコウモリが家にいない時間帯を調べ、その時間帯に「ガムテープや網などで出入り口を塞ぐ」という順だ。
浜松市は、家の構造上、出入り口を塞ぐのが難しい場合には、CDやアルミ箔をコウモリがいる周辺にぶら下げることと、出入り口の周りなどにクレゾールや木酢液など刺激臭のするものを塗ることを挙げている。CDやアルミ箔については、コウモリが嫌がり「近づかなくなる可能性があります」という書き方だ。
コウモリをニンニクの臭いで追い払えるかについては、今回開いた浜松市・北九州市・横浜市のページと、京都市の「衛生動物だより」No.59・No.027 のどれにも、ニンニクという言葉は出てこなかった。刺激臭のあるものとして挙がっているのは、浜松市がクレゾールや木酢液、北九州市がナフタリン等の忌避剤、京都市の No.59 が「ナフタリンやハーブ系の刺激臭の強い忌避剤」だ。ニンニクでコウモリが近づかなくなるかどうかは、私は確認していません。
浜松市は、自分で対応するのが難しいときは専門業者に相談するよう案内していて、作業費用は有料になると書いている。業者に頼んだ場合の金額は、私は確認していません。
コウモリの音がしないときの相談先|市区町村と管理会社
まずは、住んでいる市区町村が出しているコウモリに関する案内を見ておくのが良いだろう。
浜松市は、原則として市では捕獲や駆除を行わないとしている。
横浜市も、市では捕獲や駆除は行わないと書いている。
横浜市は、捕獲の許可については、神奈川県の自然環境保全課に問い合わせるように案内している。
北九州市は、捕獲には福岡県の許可が必要だと説明している。
他の市の対応については、天井の物音について書いた記事にまとめている。
関連:天井の物音の正体は何か|ガリガリ・ガサガサ・ミシミシの違いと確かめ方
賃貸物件や集合住宅に住んでいる場合は、自分で対策する前に、管理会社や大家さんに相談する。
自分でできることの限界と、業者に頼む目安
自分でできることとしては、糞の場所を確認したり、日没後に外から出入りを確認したり、時期を確認したりすることまでだ。
コウモリを捕まえたり、傷つけたりすることはしないように。
鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)の第2条第1項では、「鳥獣」を「鳥類又は哺乳類に属する野生動物」と定義している。
環境省によれば、「ニホンアシカ・アザラシ5種・ジュゴン以外の海棲哺乳類、いえねずみ類3種」は、この法律の対象外とされている。
コウモリは、この対象外には含まれていない。
第8条では、鳥獣の捕獲などを禁じている。
例外は、第9条の許可を得た場合などだ。
許可を出すのは、環境大臣または都道府県知事だ。
違反した場合の罰則は、第83条第1項第1号に記載されている。
1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金だ。
以下のいずれかに該当する場合は、自分で進めず、専門の業者に相談する目安になるだろう。
- 出入り口が屋根の高い所にあって、外から見えない
- すき間がいくつもあり、どこから出ているか分からない
- 塞ぐのに、屋根や高い所に上がる必要がある
- 子育ての時期(6〜8月)や冬眠の時期にかかっている
業者に依頼する場合でも、コウモリを捕獲するには許可が必要な点は変わらない。
▶ 出入り口が高い所にあって見えない、どこから出ているか分からないときに、コウモリに対応しているかと捕獲の許可の有無を害獣の業者に電話かメールで相談する
※見積もりと相談に対応している地域:東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、三重、大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山
まとめ|屋根裏のコウモリの音がしないとき、今夜やること
屋根裏のコウモリの音がしないことは、いないことを示す印にも、コウモリがいることを示す印にもならない。
小さいコウモリの声は、人には聞こえない超音波だ。
冬眠中や昼間は、あまり動かない状態になる。
今夜できることは3つある。
- フンが落ちている場所を見て、出入り口の見当をつける
- 日没後に、その近くを家の外から見て、飛び出すかを確かめる
- 音が止んでも、出入り口を全部は塞がない
浜松市は、6月から8月と冬眠前後の時期は、侵入口を塞ぐのを避けるようにとしている。
許可なくコウモリを捕まえたり傷つけたりすると、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金になる。
▶ 中にコウモリがいるか分からず、出入り口を自分で塞げないときに、許可を受けてコウモリの作業ができるかを害獣の業者に電話かメールで相談する
※見積もりと相談に対応している地域:東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、三重、大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山
この記事で見た資料
(2026年10月18日に確認)
- 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 第2条・第8条・第9条・第83条(e-Gov 法令検索)ページ
- 環境省「鳥獣保護管理法の概要」ページ
- 国土技術政策総合研究所 国総研資料 第354号「コウモリ類の調査の手引き(案)」I. コウモリ類調査を実施するための基礎知識ページ
- 国土交通省 中部地方整備局 天竜川上流河川事務所「各論 コウモリ類」ページ
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「アブラコウモリ」ページ
- 埼玉県立自然の博物館研究報告 No.9(2015年3月)大沢啓子ほか「埼玉県の新幹線高架におけるアブラコウモリの越冬期と出産哺育期の分布」ページ
- 北九州市「よくある相談と対策【コウモリ】」ページ
- 浜松市「家にコウモリが住み着いて困っている」ページ
- 横浜市「家にコウモリが住み着いている。」ページ
- 京都市「衛生動物だより」No.59 ページ
- 京都市「衛生動物だより」No.027「イエコウモリ」ページ
竹内 亮太(たけうち りょうた)
家で聞こえる音の正体を絞り込んで、次に何をすればいいかまで決められるようにするために、
このサイトを書いている。
害獣の駆除業者ではないし、自分の家に何かが出たこともない。だから体験談は書かない。
やっているのは、公的機関の資料を1件ずつ開いて、書いてあることと書いていないことを分けることだ。
音だけで正体は断定しない。
どこまで分かって、どこから先は天井裏に上がらないと分からないのかを分けて書く。

