ネズミの帰巣本能の距離は?逃がしたネズミが戻るかと今夜すること

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ネズミを捕まえても、帰巣本能で戻ってくるのか、遠くに離して放せばもう戻ってこないのか、何メートルや何キロ離せば戻らないのか、という疑問についてです。ネズミの帰巣本能と距離の答えはこうです。家ネズミがどれくらい離れた場所から戻ってこられるか、という具体的な数字は、公的な資料を11件(内容が確認できたのは8件)調べましたが、見つかりませんでした。代わりに分かったのは、家ネズミの行動範囲は「半径10数メートル(隣2から3軒程度)」とされている、という情報です。そもそも、距離の話をする前に、家への入り口が塞がれていないか確認した方が良いこともあります。

ネズミの帰巣本能の距離について、公的資料に書いてあること・書いていないこと

家ネズミとされるのは、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種類です。この3種が何メートルや何キロ離れた場所から家に戻ってこられるか、という具体的な数字は、確認できた8件の公的資料にはありませんでした。例えば、目黒区のネズミに関するページには「帰巣」という言葉は一度も出てきませんし、法律にも帰巣できる距離について書かれた条文はありません。

ただし、内容を確認できなかった資料もあります。東京都のネズミ対策に関するPDF3件と、アカネズミの再捕獲実験(1994年)の報告書は、内容まで読めていません。これらの資料に帰巣できる距離が書かれているかは、私は確認していません。

行動範囲については、目黒区のページに書かれています。

「行動範囲は、半径10数メートル(隣2から3軒程度)」とされています。

また、目黒区では「ほとんどの場合、屋内と屋外の出入りを繰り返しています」とも書かれています。つまり、ネズミは家の中だけにいるわけではありません。

「行動範囲」と「帰巣できる距離」は別の数字

ここで、行動範囲と帰巣できる距離は分けて考える必要があります。

行動範囲というのは、ネズミが普段からどれくらいの広さを動き回っているか、という意味です。帰巣できる距離というのは、一度遠くに連れて行かれた後、元の場所に戻ってこられる距離のことです。

半径10数メートルという数字は、あくまで行動範囲のことです。「10数メートルより遠くに放せば戻らない」という意味ではありません。目黒区のページにも、そのように書かれているわけではありません。

インターネットで検索すると、移動範囲の数字を、ネズミが戻ってこられるかどうかの根拠にしている回答が見られます。しかし、これらは行動範囲の数字と、帰巣できる距離の数字が混同されています。

ネット上に出ているネズミの距離(200m・300m・500m・1km)はどこから来た数字か

「ネズミ 帰巣本能 距離」で検索すると、いくつかの数字が出てきます。

  • 200mほど先に放したが戻ってきた、という質問
  • 300m離れた山林に放したが戻るか、という質問
  • 500m以上離れた場所からでも戻ってくる、という記事
  • 1km、4kmという回答者の体験
  • 移動範囲は50m程度、という回答

これらの数字は、私が確認した公的な資料には記載がありませんでした。また、これらの数字の元になった調査や資料の名前は、どれも書かれていません。同じ質問に対して、「戻る可能性がある」という回答と、「戻る可能性は低い」という回答の両方が出ている例もあります。

そのため、現時点では、「何メートル離せば戻らない」と断言できるような数字は、公的資料では裏付けが取れない状況です。

ネズミを逃がす前に確かめること(種類・放した先・決まり)

ネズミを捕まえて放すかどうかを考える際には、まずネズミの種類を確認することが重要です。種類によって、適用される法律や扱いが変わるからです。

鳥獣保護管理法は、鳥類と哺乳類に分類される野生動物を対象にしています。しかし、この法律の第80条と、施行規則の第78条により、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種は、この法律の対象外となります。浜松市のウェブサイトにも、「家や側溝などにいるドブネズミ、クマネズミ及びハツカネズミは鳥獣保護管理法の対象外ですので、捕獲に許可は必要ありません」と記載されています。

これら3種以外のネズミは、法律でいう「鳥獣」に該当します。例えば、アカネズミやヒメネズミなどがこれにあたります。知恵袋の質問のベストアンサーには、家に出たネズミは「アカネズミかヒメネズミではないか」と書かれていました。もしこれらに該当する場合、捕獲する際の扱いが、先ほどの3種とは異なります。北九州市のウェブサイトによると、農業や林業における被害を防ぐ目的であれば、ネズミ科の全種を随時捕獲することが可能です。しかし、それ以外の生活環境における被害で捕獲する場合は、北九州市では市の有害鳥獣捕獲の許可が必要になります。

一方で、捕まえたネズミを別の場所に放すこと自体に関する決まりや、自治体の説明については、私が確認した資料の中には見当たりませんでした。動物愛護管理法や、各自治体の条例、公園の規則などで、放獣に関する扱いがあるかどうかは、私は確認していません。

ネズミを放す場所を選ぶ際には、近くに家がないかも確認しておきたい点です。大人のネズミでも、2.5センチメートルの隙間があれば家に入ることができるとされています。

帰巣本能より先に見るのは、家の侵入口が残っているか

目黒区のウェブサイトでは、ネズミ対策の基本的な考え方として、次のように書かれています。

「捕まえる、殺すよりも『侵入防止』をまず第一に」

毒餌やわなでネズミを捕まえたとしても、「また別のネズミが入ってくるようではいたちごっこ」とのことです。そのため、ネズミが侵入できないようにする工事(防鼠工事)が「最も効果的な手段」だとされています。

つまり、捕まえたネズミが戻ってくるかどうかとは別に、ネズミが入ってきた穴がそのままになっていると、別のネズミが入ってくる可能性があるのです。距離に関する明確な答えが出ていないとしても、侵入口を塞ぐことは可能です。

ネズミが入り込める隙間の大きさについても記載があります。子ネズミであれば幅1.5センチメートル、大人のネズミでも2.5センチメートルあれば十分だとされています。1.5センチメートルというのは、大人の指が第二関節まで入るくらいの広さで、2.5センチメートルは500円硬貨くらいの大きさです。

目黒区の保健所が、相談者の家で指摘した侵入口(令和2年度のデータ)を見ると、屋外では105件中、床下通風口が27.6%、壁や基礎の穴・隙間が27.6%、配管貫通部の周囲が17.1%、雨戸の戸袋が16.1%でした。室内では55件中、壁や床の穴・隙間が32.7%、流し台まわりが27.2%でした。

今日できることとしては、まずこれらの場所を確認してみることです。床下通風口、配管が壁を貫通している箇所、流し台の下などを見て、指が入るくらいの隙間がないか確認してみてください。

逃がす以外の方法と、自分でできることの限界・業者に頼む目安

目黒区のウェブサイトによると、最近では「あまりかからない、たくさん仕掛けられない」などの理由から、金カゴ型のわなよりも粘着板が主流になっています。

ご自身でできることとしては、まず侵入口を探し、目に見える穴を塞ぐところまでです。目黒区の保健所では、侵入口探しの手伝いや穴ふさぎのアドバイスも行っています。お住まいの市区町村で同様の相談ができるかどうかは、私は確認していません。一度、役所のウェブサイトなどで調べてみてください。

もし、ご自身で侵入口が見つからなかったり、床下や配管の周りなど、自分で手が届かない場所に穴がありそうな場合は、専門の業者に調査を依頼するのも一つの方法です。

▶ 侵入口が見つからない・手が届かないときに、侵入口を調べてもらえるか害獣の業者に電話かメールで相談する

※見積もりと相談に対応している地域:東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、三重、大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山

まとめ:ネズミの帰巣本能と距離、今夜すること

  • 家ネズミが何m離れた所から戻れるかの数字は、開いた公的資料11件(本文を読めたのは8件)の中に見つからなかった
  • 目黒区が書いているのは、行動範囲は「半径10数メートル(隣2から3軒程度)」とされている、というところまで。これは帰巣できる距離とは別の数字だ
  • ネット上の200m、500m、1kmなどの数字は、出どころが確かめられなかった
  • ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種は鳥獣保護管理法の対象外。それ以外のネズミは法律の対象になる
  • 距離より先に、家の侵入口が残っているかを見る。大人のネズミは2.5センチの隙間から入るとされている

まずは今日、床下通風口、配管の周り、流し台の下あたりを確認することから始めてみてください。

▶ 床下や配管の周りの侵入口を自分で塞げないときに、害獣の業者に電話かメールで相談する

※見積もりと相談に対応している地域:東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、三重、大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山

この記事で引用した資料

  • 目黒区「ネズミの被害を防ぐために!」ページ
  • e-Gov 法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」ページ
  • e-Gov 法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則」ページ
  • 浜松市「ネズミ・モグラによる被害が発生している」ページ
  • 北九州市「5 野生鳥獣を捕獲するには」ページ

竹内 亮太(たけうち りょうた)

家で聞こえる音の正体を絞り込んで、次に何をすればいいかまで決められるようにするために、
このサイトを書いている。

害獣の駆除業者ではないし、自分の家に何かが出たこともない。だから体験談は書かない。
やっているのは、公的機関の資料を1件ずつ開いて、書いてあることと書いていないことを分けることだ。

音だけで正体は断定しない。
どこまで分かって、どこから先は天井裏に上がらないと分からないのかを分けて書く。

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