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キンチョールの効能に並ぶのは虫とダニの7種類で、コウモリは入っていない。水鉄砲で追い払えるという話も、環境省・法律の条文・浜松市・KINCHO のページには出てこない。浜松市が書いている対処は、出入り口を見つけて、コウモリがいない時間帯に塞ぐことだ。今夜は、まずどこから入っているかを見つける。
コウモリにキンチョールは効くか(殺虫剤の表示に何と書いてあるか)
キンチョールの製品ページによると、キンチョールは「防除用医薬部外品」に分類される。
効能としては、「ハエ成虫、蚊成虫、ゴキブリ、ノミ、トコジラミ(ナンキンムシ)、イエダニ、マダニの駆除」と記載されていて、全部で7種類だ。これらはすべて虫やダニで、コウモリに関する記載は無い。
使われている有効成分は「ピレスロイド(d-T80-フタルスリン、d-T80-レスメトリン)」だ。
KINCHOの害虫コラムでは、ピレスロイドについてこう説明されている。
「ピレスロイドは害虫の皮膚や口から入り、神経に作用しマヒさせて虫を退治します。また、哺乳類・鳥類など恒温動物の体に入ってもピレスロイドは速やかに分解され、短時間で体外へ排出されてしまいます。」
コウモリも哺乳類だ。ただ、コウモリに直接吹きかけた場合にどうなるかについては、製品ページにもコラムにも書かれていない。
同じコラムには、ピレスロイドには虫を寄せ付けない効果もあると書かれている。例として蚊が挙げられていた。
「蚊取り線香や電池式蚊取りを使った場合、蚊を殺すだけでなく薬剤濃度の薄い場所では蚊が嫌って近づいて来ないという効果があります。」
しかし、コウモリがこれによって嫌がって近づかなくなるかどうかは明記されていない。もし吹きかけた後にコウモリが飛んでいったとしても、それが薬剤の効果なのかどうかは、製品ページだけでは判断できない。
使用方法の欄を見ると、空間に噴射する場合の対象は「室内のハエ成虫、蚊成虫」となっている。直接噴射の場合も、効能の対象となっている7種類と同じだ。屋外の軒下に定期的に吹きかける使い方や、効果がどれくらい持続するのかについては書かれていない。
注意事項には、「●定められた使用方法を守ること。」とある。
軒下の外壁やサッシに吹きかける場合、次の注意点も関係してくる。
「●塗装面、プラスチック、家具、建材、繊維製品、石材などに薬剤が付着した場合、変色、変形の恐れがあるので注意すること。」
コウモリに水鉄砲は効くか(水やハッカ水で飛ばしても入口は残る)
水鉄砲で水をかけたり、ハッカ水を使ったりしてコウモリを追い払う方法については、環境省の鳥獣保護管理法に関する情報や、法律の条文、浜松市のコウモリに関するページ、そしてKINCHOのページにも記載が無い。水鉄砲が効果があるかどうかを示す資料は、私は確認していません。
浜松市のページには、コウモリの侵入口の大きさについて書かれている。
「(糞が落ちている場所等が侵入口と考えられます。1cm程の隙間があればコウモリは出入り可能です。)」
水鉄砲の水で追い払ったとしても、1cm程の隙間がそのまま残っていれば、出入りできる状態は変わらないということになる。
浜松市がコウモリ対策の手順として挙げているのは、次の3つだ。
「1.侵入口を確認する。」
「2.コウモリが家にいない時間帯を調べる。」
「3.コウモリが家にいない時間帯にガムテープや網などで出入り口を塞ぐ。」
水鉄砲を使うという方法は、これらのどれにも当てはまらない。
キンチョールをかけてしまったコウモリはどうするか(法律と自治体に書いてあること)
もしコウモリが家の中に入ってしまって、虫と間違えてキンチョールをかけてしまった場合、弱ったコウモリをどうすれば良いかについては、KINCHOのページにも浜松市のページにも記載が無い。
まず法律について確認する。鳥獣保護管理法の第二条では、「鳥獣」を鳥類または哺乳類に属する野生動物と定義している。
環境省の概要では、法律の対象外となる鳥獣について次のように説明されている。
「ニホンアシカ・アザラシ5種・ジュゴン以外の海棲哺乳類、いえねずみ類3種については、鳥獣保護管理法の対象外とされています。」
コウモリは、この法律の対象外には含まれていない。
第八条では、「鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。」と定められている。ただし、許可を受けた場合などは例外となる。
「捕獲等」の意味は、第二条に「捕獲等(捕獲又は殺傷をいう。以下同じ。)」と書かれている。
罰則については第八十三条に規定されており、対象となるのは「第八条の規定に違反して狩猟鳥獣以外の鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をしたとき(許可不要者であるときを除く。)。」だ。
罰則は「一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金」だ。
環境省の「狩猟制度の概要」に並ぶ狩猟鳥獣は46種類(獣類20種類)で、コウモリは入っていない。
キンチョールをかけたり、水をかけたりする行為が「捕獲等」に当たるかどうかについても、法律の条文には明記されていない。条文にあるのは「捕獲又は殺傷」という言葉だけだ。どこからがこれに該当するのかについては、私は確認していません。
環境省の概要には、市民の取組として「鳥獣の追い払いの徹底等による鳥獣を誘引しない取組に努める必要があります。」という記述がある。しかし、具体的に何を使って追い払うべきかまでは書かれていない。
浜松市のページには、「コウモリは、捕獲することが大変困難な上、捕獲には許可が必要になります。」と書かれている。
また、同じページには「原則、市では捕獲、駆除等を行っておりません。」とも書かれている。
もしコウモリに薬剤などをかけてしまったり、弱ったコウモリがいた場合、あるいは死んでいた場合の相談先については、浜松市のページには記載が無い。他の市区町村の対応については、私は確認していません。お住まいの市区町村に問い合わせてみると、その市区町村の対応がわかる。
キンチョールや水鉄砲のあとに確かめる、コウモリが戻ってくる場所(軒下・サッシ・通気口)
コウモリを追い払った後に確認すべきなのは、フンが落ちている場所だ。浜松市では、フンが落ちている場所などを侵入口と考えている。
軒下、サッシの周り、通気口の下などにフンがあれば、その上にある1cm程の隙間が、コウモリの出入り口の候補となる。
今夜できることは、侵入口になりそうな場所を見つけておくことと、コウモリが家にいない時間帯を調べることだ。ふさぐのは、コウモリがいない時間帯に行う。
出入り口をふさぐ時期についても注意が必要だ。浜松市は次のように注意を促している。
「侵入口の封鎖は、まだ飛べない幼獣のいる時期(6~8月)や、冬眠前後の時期を避けて行って下さい。」
ふさぐ際の注意点も書かれている。
「封鎖時、家の中にコウモリが取り残されないよう注意して下さい。コウモリが残っていると閉じ込めて殺してしまい、死体が臭気や害虫の発生源になってしまいます。」
もし、ふさぐのが難しい場合の対策についても、浜松市は2つの方法を挙げている。
「CDやアルミ箔をコウモリがいる周辺にぶら下げる。」
「出入り口周辺や、家の中でコウモリが定着する場所にクレゾールや木酢液など刺激臭のするものを塗布する。」
CDやアルミ箔について、浜松市は「近づかなくなる可能性があります」と書いていて、必ず来なくなるとは書いていない。
換気扇を回しっぱなしにする方法については、コウモリに換気扇の回しっぱなしは効くかという記事にまとめている。もし屋根裏にコウモリがいて音がしない場合は、コウモリが屋根裏にいるのに音がしないという記事が参考になる。
自分でできることの限界と、業者に頼む目安
自分でできる範囲は、侵入口になりそうな場所を見つけて、コウモリがいない時間帯にふさぐところまでだ。
浜松市のページには、「ご自身の所有地・管理地でご自身での対応が困難な場合には、専門業者にご相談ください(作業費用は有料になります)。」と書かれている。
専門業者に依頼するかどうかの判断目安は、次の4つが挙げられる。
- 入口の候補が2階の軒先や外壁の高い所にあって、隙間の大きさを確かめられない
- フンが何か所にも落ちていて、入口の候補が1か所に絞れない
- 今が6~8月で、塞ぐのを避ける時期に当たっている
- 家の中に入ったコウモリや、弱ったコウモリがいる(浜松市は、原則として市では捕獲や駆除をしないと書いている)
屋根裏の音から正体を特定したい場合は、屋根裏に何かいる|音と鳴き声で正体をどこまで絞れるかを先に読んでおくと良い。
入口が2階の軒先や外壁の高い所にあって確かめられないときに、コウモリの現地調査と見積もりを無料で頼めるか、害獣プロガードの公式ページで対応エリアと合わせて確かめる
※見積もりと相談に対応している地域:東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、三重、大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山
まとめ
- キンチョールの効能は虫とダニの7種で、コウモリは入っていない。コウモリにかけたときのことは、KINCHO のページに書いていない
- 有効成分のピレスロイドは、哺乳類・鳥類など恒温動物の体に入ると速やかに分解されると KINCHO は書いている
- 水鉄砲で追い払うことは、環境省の概要・法律の条文・浜松市のページ・KINCHO のページのどれにも書いていない
- 浜松市が書いている対処は、入口を確かめて、いない時間帯に塞ぐこと。1cm程の隙間があれば出入りできる
- 塞ぐのは、6~8月と冬眠前後の時期を避ける
- 罰則(一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金)は「狩猟鳥獣以外の鳥獣」が対象。環境省の狩猟鳥獣46種類にコウモリは入っていない。水やキンチョールが「捕獲等」に当たるかは、私は確認していません
軒下・サッシ・通気口を見ても入口が1か所に絞れないときは、コウモリの現地調査と見積もりの対応エリアを害獣プロガードの公式ページで先に確かめる
※見積もりと相談に対応している地域:東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、三重、大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山
この記事で見た資料(すべて 2026-10-29 に確認)
- KINCHO「キンチョール」製品ページ https://www.kincho.co.jp/seihin/insecticide/kinchol_hunter/kinchol/index.html
- KINCHO 害虫コラム「ピレスロイドの特長は?」 https://www.kincho.co.jp/gaichu/column/piresroid.html
- 環境省「鳥獣保護管理法の概要」 https://www.env.go.jp/nature/choju/law/law1-1.html
- e-Gov 法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000088
- 浜松市「家にコウモリが住み着いて困っている」(更新日:2026年3月13日) https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/ringyou/koumorihigai.html
- 環境省「狩猟制度の概要」 https://www.env.go.jp/nature/choju/hunt/hunt2.html
竹内 亮太(たけうち りょうた)
家で聞こえる音の正体を絞り込んで、次に何をすればいいかまで決められるようにするために、
このサイトを書いている。
害獣の駆除業者ではないし、自分の家に何かが出たこともない。だから体験談は書かない。
やっているのは、公的機関の資料を1件ずつ開いて、書いてあることと書いていないことを分けることだ。
音だけで正体は断定しない。
どこまで分かって、どこから先は天井裏に上がらないと分からないのかを分けて書く。

