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天井のシミが茶色くなっていると、多くの人は雨漏りを疑う。ネットで検索しても、出てくるのは屋根屋さんのサイトばかりだ。
でも、自治体の資料を見ると、天井のシミが茶色くなる原因はもう一つ書かれている。動物の尿だ。
天井のシミが茶色い場合、考えられる原因は4つ。雨漏り、結露、上の階からの水漏れ、そして動物の尿。このうち、公的な資料にちゃんと説明があるのは、動物の尿だけだった。
この記事では、動物の尿については自治体の資料をそのまま引用する。雨漏りについては、自分で確かめられることだけをまとめてみた。
自治体は天井のシミを家に入られたサインとして挙げている
調べた9つの公的機関のうち、4つが天井のシミを家屋侵入のサインとして挙げていた。
酒田市は、尿がなぜシミになるのかを説明している。
ハクビシンは人家の天井裏をねぐらとすることがあります。同じ場所に糞尿をする習性(ため糞)があるため、天井板が変色しシミになります。放置すると天井板が腐るなど、張り替えを余儀なくされることもあります。
中野区は、シミの後に何が起きるかについて触れている。
尿は天井にシミ汚れを作り異臭を発生させます。また、ダニなどの害虫が発生する原因にもなります。
横浜市は、箱わな設置の相談ができる被害例を2つだけ紹介している。
次のような被害を受けてお困りの時は、まずは横浜市みどり環境局公園緑地部環境活動事業課までご相談ください。
天井裏から毎晩のように動物が歩き回る音がする。
天井に染みができて尿らしきものが垂れてきた。
足音と天井のシミが、同じ相談の窓口になっている。
相談の対象外になるケースも明記されている。
庭に現れる(通り抜ける)。
庭で飼っている金魚やコイ、亀等が食べられてしまった。
家庭菜園のトマトやキュウリなどの野菜が食べられてしまった。
庭やベランダにフンをされる。
屋外に置いてある生ごみを荒らされた。
庭にフンがあるのは対象外だけど、天井のシミは対象。横浜市は、天井のシミを家の中に侵入された被害として扱っている。
箱わなは、一人2週間まで、年に1回しか使えないという条件がある。ちなみに、横浜市のこのページには「予算の上限に達したため、今年度の事業を終了いたしました」と書かれていた(2026年9月27日確認)。
江東区も、被害の例として天井のシミを挙げている。
天井にシミができた。
屋根裏で大きな音がする。
雨どいやベランダの一角にまとまって何かの糞がある。
残りの5つの機関は、「シミ」という言葉を使っていなかった。東京都北区は「建物の天井裏等に入り込まれている」、新宿区は「家屋内侵入による糞尿・臭気・騒音被害」という表現を使っている。東京都環境局は「家屋侵入による建物の破損、糞尿による汚損等(特に天井裏)」と記載。写真には「ハクビシンによる天井裏の糞害」という説明が添えられていた。
「天井のシミ」という言葉を使っている自治体は少ない。でも、使っているところは、被害や原因の説明にきちんと触れている。相談の窓口として挙げているのは横浜市だ。
雨漏りのシミについて説明した公的な資料は見当たらない
動物の尿については自治体が説明しているけれど、雨漏りについてはどうだろうか。
「国土交通省 雨漏り 天井 シミ」で検索してみると、上位9件はすべて屋根工事や雨漏り修理業者のサイトだった。公的な機関が雨漏りのシミの見た目を説明した資料は、上位には出てこない。
検索結果が雨漏りに偏るのは、これが理由だろう。雨漏りについては業者のサイトが上位を占めているのに、動物の尿については自治体のサイトに短く書かれているだけだ。
業者のサイトが間違っているわけではない。ただ、雨漏り修理の業者は、どうしても雨漏りを前提に話を進める。書かれているのは、水の話だけだ。
雨漏りか動物かを見分ける4つの手がかり
自治体の資料を読むと、自分で確かめられることが4つある。
まず、雨が降ったあとにシミが広がるかどうか。雨の日や、雨がやんだ直後に広がるようなら、水が関係している可能性が高い。動物の尿は、天気に関係なく出続ける。何日か、天気とシミの大きさを記録しておけば、雨との関係が見えてくるはずだ。
次に、においがあるかどうか。中野区は「異臭を発生させます」と書いている。雨水のシミでも、カビが生えれば臭うことがある。ただ、獣のにおいはカビとは違う。天井の近くまで上がって、においを確かめてみてほしい。
3つ目は、シミが同じ場所にとどまっているかどうか。酒田市が書いているように、ハクビシンは同じ場所に糞尿をする。そのため、シミが一か所に濃く現れる。雨漏りの場合は、水の通り道に沿って広がっていく傾向がある。
4つ目は、音がしていたかどうか。横浜市が挙げている2つの例のうち、1つは足音だった。夜中に天井から音がしていて、その後にシミが出たというなら、動物の可能性が高い。音の種類で正体を絞る方法は、天井の物音の記事にまとめている。
この4つの手がかりで、どちらの可能性が高いかまでは判断できる。ただし、最終的に決まるのは天井板の上を見てから。シミの裏に何があるのかは、点検口から覗いてみないと分からない。
一階にだけシミが出たとき、その上はどうなっている?
天井のシミが一階にだけ出ている場合、その真上は2階の床だ。屋根から入った水が一階まで届くには、2階を通り抜けてこなければならない。2階の床や壁に何も異常が出ていないのに、一階だけシミが出ているなら、屋根以外から水が来ていることになる。
業者のサイトには、2階のバルコニーの亀裂が原因だった例が出ている。バルコニーの防水が劣化して、そこから水が下に漏れていたのだ。
動物の場合は、また別の経路がある。1階と2階の間にも、動物が入り込める空間がある家は少なくない。天井裏というのは、屋根の下だけを指すわけではないのだ。
マンションの場合、階によって状況が変わる
天井のシミがマンションに出たときは、住んでいる階によって考える順番が変わってくる。
最上階なら、天井のすぐ上は屋上だ。屋上の防水が切れていれば、そこから水が入ってくる。最上階の天井裏にも、動物が入り込める空間はある。
最上階でなければ、天井の上は上の階の床になる。この場合は、雨漏りというより、上の部屋からの水漏れを先に疑うべきだろう。洗濯機や配管が原因になっていることも多い。
マンションでは、結露が原因となるケースもある。
調べた4つの自治体は、建物の種類を区別して説明してはいなかった。ただ、マンションの天井裏に動物が侵入した例は、公的な資料には見当たらない。
賃貸で天井のシミが出た場合の負担と、誰に連絡すべきか
天井のシミが賃貸物件で発生した場合、貸主と借主のどちらの負担になるかについては、国土交通省の資料に考え方が書かれている。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」には、貸主の負担になる例が挙げられている。
畳の変色、フローリングの色落ち(日照、建物構造欠陥による雨漏りなどで発生したもの)
例として挙げられているのは畳や床のケースで、天井のシミについての記載はない。しかし、なぜ貸主負担になるのかについては、同じ資料にこう書かれている。
建物構造欠陥は、賃借人には責任はないと考えられる
天井のシミも建物の構造が原因であれば、同じ考え方が適用されるのかどうかは、この資料には明記されていない。
シミをそのまま放置しておくと、話が変わってくる。同じ資料に、結露の例として次のように書かれている。
賃借人が結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多い
これは結露の例であり、雨漏りも同様に扱われるとは書かれていない。それでも、気づいていたのに管理会社や大家に伝えなかったことが後から判明すると、負担の話が複雑になる可能性がある。
やるべきことは決まっている。シミを見つけた日付と、その時の大きさを記録し、管理会社か大家に連絡することだ。写真は、日付がわかるように残しておく。
動物の尿による汚れが、貸主と借主のどちらの負担になるかについては、このガイドラインには書かれていない。
自分で確かめられること、確かめられないこと
自分で確かめられるのは、以下の4点だ。
- 天気とシミの大きさを数日間記録する
- 天井の近くでにおいを確かめる
- シミが一か所にとどまっているか、広がっているかを確認する
- 夜に音がしていたかどうかを思い出す
確かめられないのは、天井板の上だ。点検口から覗くには脚立が必要になる。天井板は、踏み抜けば下に落ちてしまうし、断熱材の下は実際に見えない。フンや尿の跡は、そこまで上がって初めてわかるものだ。
原因が動物だった場合の清掃や消毒は、市区町村では行っていない。横浜市は「家屋の清掃や消毒、侵入口の補修等は行っていません」と明記している。シミが広がっている場合は、天井板の張り替えが必要になることもある。
自治体によって、無料になる範囲も異なる。清瀬市は「捕獲器の貸し出し、捕獲された動物の回収費用は無料です」としている一方、調べた9つの機関のうち、被害の例を挙げていない自治体もある。まずは、住んでいる市区町村に電話で確認してみるのが良いだろう。
天井裏に何がいるのか、水がどこから入っているのか。ここから先は、業者に依頼して見てもらうしかない。屋根裏から音がしている場合は、天井裏の中でも屋根に近い部分を確認することになる。確かめ方は屋根裏に何かいるときの記事にまとめてある。
▶ 天井裏に動物がいそうなら、侵入口を塞ぐ工事がいくらかかるか、見積もりで確かめる
※見積もりと相談に対応している地域:東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、三重、大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山
ここまでで分かること、そしてやるべきこと
天気とシミの広がりを数日間記録する。においを確かめる。シミが一か所にとどまっているかを確認する。夜に音がしていたかを思い出す。賃貸物件の場合は、見つけた日付と大きさを記録し、管理会社か大家に連絡する。
天井のシミが茶色くなる原因は、4つ挙がる。雨漏り、結露、上の階からの水漏れ、動物の尿。公的な資料に説明があるのは、動物の尿だけだった。
調べた9つの公的機関のうち、4つが天井のシミを家屋侵入のサインとして挙げていた。相談の窓口としているのは横浜市だ。
建物の構造が原因の雨漏りについては、借りている側に責任はないと国土交通省の資料に書かれている。ただし、天井のシミも同じ考え方になるとは書かれていない。気づいていても伝えずに放置すると、負担の話がややこしくなる可能性がある。
天井板の上は、自分では見ることができない。水なのか尿なのか、そこで最終的な原因が決まる。
この記事で見た資料
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